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最中


僕が飼っている猫、ししゃも(♀)。

彼女の行動を見てると、

この部屋にいる僕以外の誰かの存在感を感じずにはいられない。

僕がししゃもを飼い始めて半年近く経ったある日のこと 。

ししゃもが僕の頭上辺りの壁をじっと見つめて動かなくなった 。

数秒間見つめた後、突然驚いた表情で「びくっ!」っとしたししゃもは

素晴らしいクラウチングスタートを切って部屋の外へ猛ダッシュし たのである。

そして恐る恐る部屋に戻ってくる 。

その日以来、そんなことが度々あった。

ししゃもが見つめて動かなくなる視線は決まって僕の頭上辺りだったので、

部屋にいるというより、僕の背後にいるような感じがしていた。

僕に霊的な何か取り憑いてるのかなと少し不気味だったが、

特に身体が重く感じたり、妙な寒気を感じるわけでもなく、

いつもと変わらず普通で健康だったので、 まあ良いかと特に気にしていなかった。 ししゃもはいつも僕の背後の何かを、 数秒間から数十秒間は興味津々で見つめてから

突然、驚いた様子で走り出すので

僕の背後の何かはししゃもに対して『いないないばー』 的ななにかを仕掛けてるに違いないと思った。

そう考えるとこの幽霊(?)はなかなか僕と気が合いそうだ。

僕の後ろにいつもいて、それでいて全く危害を加えてこない。

きっとししゃもが見えてるのは僕の守護霊に違いないと思うようになった。

ある日、 僕は今ここにいるであろう守護霊をどうにか視認できないかと

ししゃもの視線の先をじっと集中して見た 。

すると、とても小さな小豆が一粒見えた。

小豆が本当に僕を守ってくれるのかと少し不安になったが

僕は小豆に話かけた。

年下か年上か分からないが、初対面なのでもちろん敬語だ。

僕『あなたは僕の守護霊ですか?』

すると、一粒だった小豆は二粒になった。 一人(♂)と一匹(♀)と二粒(?)の共同生活の始まりである。 僕はもうさっぱりどういう意味か分からなかった 。 だいたい僕より小さい豆が、どうやって僕を守るというのだろう。

そもそも、この豆は本当に守護霊なのか。

僕はししゃもに聞いてみた。 僕『ねぇ、この豆って守護霊?』

ししゃも『えっ?そんなこと聞かれても知らんけど』

ししゃもがしゃべった。

まあ前々からこいつは、 しゃべれるのにしゃらべらないだけじゃないのかと思ってたので、

そのことに関しては特に驚かなかったが 、

僕はてっきり 『わからにゃい』 とか 『知らにゃい』 と喋るものだと思ってたので、ショックを隠し切れなかった。

そしてなにより、飼い主であり、22歳も年上だと言うのに

タメ語のししゃもが信じられなかった。 その時

ふと後ろに気配を感じ、降り返ると

小豆は三粒に増えていた。

僕はもう訳が分からなくなり目の前が真っ暗になりそうだったが、

いつか僕にも子供が生まれて、その子がが女の子だったら『あずき』 という名前にしようと思う。 長大歯科研修医 しまだ


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